思い込むとは、信じること。

思い込みが激しいとは、自分が信じること以外の可能性を、すべて排除しているような状態です。

視野が狭くなっているうえ、考え続けるという思考のループによって、意識の領域を占領していきます。

たいてい、それは自分にとって望ましくない事柄であることがほとんど。

よって、気分は下がる一方ですね。

思い込みの種類や、思い込みが激しくなるメカニズムについては、以下の記事で触れています。

この中で、思い込みには無知による思い込みと、経験による思い込みの2つがあると、説明しました。

参考:思い込みが激しくなる原因を心理学の「確証バイアス」で説明

今回は、思い込みをなくす具体的な方法を、一つご紹介します。

思い込みをなくすというより、「決めつけている思考の勘違いに気づく」と言った方が近いかもしれません。

不快を招く思い込みの中には、ある事象に対する「認知(決めつけ)」が原因になっていることがあります。

ご紹介するのは、その決めつけを見つめ直すワークです。

まず認知の変容によって、心理的不適応を解決するプロセスを、論理情動療法から述べ、その後ワークへと進みます。

Point

◆ エリスのABCDE理論とは

◆ 認知の変容は反論より質問

◆ 決めつけの勘違いに気づく方法

 ※この記事は3分で読み終えられます

Sponsored Link

非合理な信念が悩みを生む

今回のワークは、どのようなアプローチなのか。

それを、論理情動療法の中心概念である、 ABCDE理論(アルバート・エリス)で説明します。

この理論では、出来事A(Activating Event)に対して、自身がもつ「非合理な信念」による受け止めB(Belief)が、不快感情や不適応行動といった結果C(Consequence)につながると考えます。

そこで信念を、反論D(Dispute)することで、(適応効果のある)新たな結果E(Effect)に変容させる。

このようなアプローチになります。

キーとなるのは、Dの「反論」です。

わかりやすい例として、ひとつ挙げましょう。

挨拶をした相手から、挨拶が返ってこなかった(A:出来事)

挨拶を返さないのは、私に対して好意的ではないのだと受け止める(B:信念)

相手に対して腹が立ち、これからは挨拶をしなくなる(C:結果)

この信念に対して、次のように論じ返します。

もしかしたら相手は聞こえなかったのかもしれないし、考え事をしていたのかもしれない

挨拶をしないことだけで、自分に好意的でないとは言えない(D:反論)

相手の真意はわからない、気にせず自分はこのまま挨拶を続けよう(E:効果を得た結果)

このように、Disputeは自分と自分が討論しているイメージです。

反論より質問

反論というように、ABCDE理論では、非合理な信念を「論理的にとらえ直す」ものです。

そこを、単に「問い直す」だけにしたのが、今回ご紹介するワークです。

ベースは、こちらの書籍。

探すのをやめたとき愛は見つかる(バイロン・ケイティ著)

思い込みから自由になるため、認知へアプローチするデザイン。

信念に対して4つの質問を順に投げかける、シンプルな内容ですので、セルフワークに適していると思います。

アプローチの前に、出来事(事実)から思い込みが生まれるまでの流れを、ざっと見てみましょう。

思い込みプロセス

  1. 事実・・・相手の言動
    相手にメールをしたのに2日返信がない
  2. 推測・・・これまで生きる中で得た知識や経験(信念)から、言動の意味を解釈
    メールは返信するもの、好きな友達だったらすぐに返信したくなるはずetc
  3. 結論・・・推測によって導かれた相手の真意(仮説)
    相手は私のことが嫌いなのかもしれない
  4. 真実・・・仮説の真偽を問う
     
    仮説が本当に正しいと言えるかどうかはわからない(相手の心は相手にしかわからない)

信念による解釈が真実であると判断するには、本来、仮説を検証する作業が必要です。

ところがこの処理をせず、結論で終了してしまうため、仮説が「誤った真実」になります。

これが、思い込みなのです。

Sponsored Link

ワークの方法

上と同じ図を、再度示して説明します。

思い込みプロセス

ワークによる問い直しは、「推測」と「結論」両方に対して行います。

まずは、推測から導かれた仮説に対して問います(1)

「それは100%本当だと言える?」

次に、推測の基準となった信念に対しても、同じように問います(2)

「それは100%本当だと言える?」

(ここから先の内容は、上の図とは関係ありません)

ここで、仮説や信念を信じたままだと、自分はどのような状態になるのかを問います(3)

「その考えがあると、あなたはどうなる?」

最後に、仮説を信じるとき、仮説を信じないとき、心の状態がどう違うのかを問います(4)

「その考えがあるときと、ないときでは、あなたの人生はどう変わる?」

ここで、仮説を信じると「心が騒ぎ」、信じないと「心が静か」であることを体感できます。

最後に・・・

これら4つの問いは、以下の2点に気づかせるものだと考えられます。

  • 非合理な信念によって導かれた仮説は、真実と乖離して(かけ離れて)いる
  • 自分の心の平和を乱しているのは、相手の言動ではなく、自身の思考である

信じていることが、100%本当だと言えないことは、自分が一番よくわかっています。

つまり、それが正しいと「勘違い」しているのです。

問い直しを重ねていると、信念の鎖が少しずつ緩んでいきます。

「それは100%本当だと言える?」

これは、潜在意識の書き換えにも有用な方法です。

日常のなかで、思い込みに囚われそうになったら、「それは本当?100%そうだと本当に言える?」と、問い直す習慣をつけてみて下さいね。

真実でない思考を大切に握りしめていても、心がザワザワするだけ。

思考を手放した方が、軽やかな心でいられると、体感すれば解放も早くなります。

他人から説明されたり、説得されたりしても、本人が気づかなければ変わりません。

本ワークで、決めつけていた信念は、単なる勘違いだったことに、ご自身で気づかれることを期待します。

なお、苦しみを生むほど激しくなる思い込みは、過去の「苦い経験」が原因であることがほとんどです。

経験が深く刻まれている場合は、まず記憶の書き換えを済ませ、それから問い直しに入られる方が効果的であると考えます。

参考:思い出すのも嫌な過去を忘れる方法【1】視覚情報へのアプローチ

参考:思い出すのも嫌な過去を忘れる方法【2】聴覚情報へのアプローチ

参考:思い出すのも嫌な過去を忘れる方法【3】未完了感情へのアプローチ

バイロンケイティ公式サイトから、ワークシート をDLできます。

本記事内でご紹介した書籍は、「愛」に特化していますので、一般的な場合は、こちらのワークシートで十分カバーできると思います。

人間関係に対する思い込みをなくす方法については、思考の均衡を図る内容を、こちらでご紹介しています。

参考:思い込みをなくす方法【2】思考のバランスをとり投影に気づく

こちらに参加しています。
お役にたてましたら応援いただけると嬉しいです。