日々を穏やかに、平和に過ごしたい。

誰もがそう願うのではないでしょうか。

ところが、「感情」に心を乱される現実。

ときには、過去の辛い記憶に囚われて、身動きがとれなくなることもあります。

思い出したくないのに、勝手に浮かんでくる。

辛い記憶というのは、たいてい自分の意思に関係なく、一方的に顕れてくるものです。

「辛い記憶を消したい」

「嫌な記憶をすべて忘れたい」

果たしてそのようなことが出来るのでしょうか。

脳という機能を、単体で考えるなら、理論上では可能です。

ただし「消す」ではなく、「書き換え(上書き)」という方法になります。

今回は、辛い記憶の書き換え(潜在意識の書き換え)に関する、具体的な方法をお伝えします。

Point

◆ 記憶を構成しているもの

◆ 記憶を書き換えるとは

◆ 記憶を書き換える具体的な方法

 ※この記事は3分半で読み終えられます

自ら記憶に意味を与えている

過去に起きた出来事を、無かったことには出来ません。

時々、過去の嫌な記憶を思い出せないという現象がみられます。

それは、記憶が消えたのではなく、思い出せないよう、潜在意識がブロックするためです。

当人を苦しませない、潜在意識からの愛ともいえます。

意識のうえでは思い出せなくても、私たちの経験は潜在意識に記録されています。

生まれてから死ぬまでの一切を。

ただし、記憶に付随している意味は、すべて「自ら後付けした」ものです。

出来事自体に、意味はありません。

記憶は、ありのままの「無色透明な記憶」ではなく、「独自に色づけした記憶」なのです。

したがって、起こった事実は変えられませんが、意味づけは変えられます。

記憶の構成要素

長期にわたって保持される記憶は、意味記憶とエピソード記憶に分かれます。

いつまでも苦しめられる辛い記憶は、エピソード記憶です。

記憶の種類については、以下をご参考下さい。

エピソード記憶は、その場面の構成要素(五感から取り入れた情報) によって、ゲシュタルト(全体)を作ります。

構成要素は、次の3つに分類できます。

  • 視覚情報
  • 聴覚情報
  • 身体感覚情報 (味覚・嗅覚・触覚)

失恋の場面を例に、それぞれを説明します。

  • 視  覚・・・彼の冷たい顔、公園のベンチ
  • 聴  覚・・・「別れよう」 というセリフ、突き放すような言い方
  • 身体感覚・・・胸がぎゅっと締め付けられる、彼が吸ったタバコの匂い

相手の表情やセリフ、言い方から、「愛する人に拒まれている」と認知します。

それによって、胸がぎゅっと締めつけられる感覚を味わいます。

身体感覚は、外側の情報を受け取る場合と、内側の情報を受け取る場合とがあります。

例でみるなら、タバコの匂いが外側、胸の締めつけが内側です。

このうち、内側から起こる身体感覚は、「感情」の表出 です。

(「嬉しい」「悲しい」というように、形容する言語で表すことは、感情ではなく「思考」です)

これらの反応が、場面全体(ゲシュタルト)を、「悲しい失恋の記憶」として意味づけし保存します。

構成要素は、その記憶を呼び起こす「スイッチ」の役割 を果たすことがあります。

当時の記憶に関連する情報を、別の場面で取り入れる。

(例なら、公園のベンチを見る、タバコの匂いを嗅ぐなど)

すると、失恋の記憶が想起され、意味づけされた「悲しみ」を再現する・・・という具合です。

また、スイッチが働かなくても、突然記憶が浮かび上がり、感情を再体験することもあります。

記憶を書き換える方法

以上のことから、記憶の書き変えには、記憶全体を構成しているパーツを変えることが有効だと言えます。

具体的には、辛い記憶(全体)を構成している要素(部分)を細分化し、そこにアプローチしていく方法です。

まず、消したい、忘れたいと思っている記憶をひとつ思い出します。

何が見えますか

何が聴こえますか

どのような身体の感覚を味わっていますか

一つずつ、言葉にして整理します。

それが、苦しめる記憶を構成している要素です。

次に、その要素を変えていきます。

本記事では、3つの構成要素のうち、一つ目の「視覚情報へのアプローチ」をご紹介します。

1.【当事者】から【第三者】へ

記憶は、自分が場面に参加している 映像と、傍から眺めている (自分が自分を見ている) 映像に分かれます。

前者は当事者として「体験」しています。

しかし、後者は第三者として「傍観」している、つまり「他人事」になっているため、辛さは前者の方が強くなります。

そのため、当事者から第三者になり、出来事と距離を置く のです。

うまく出来ない時は、次の方法を試してみて下さい。

映画館の大きなスクリーンに、辛い場面を映し出し、観客席に座る自分が、それを観る姿をイメージします。

2.【カラー】から【セピア】へ

「当時の様子が、色鮮やかに甦る」

楽しい記憶を思い出すとき、このような表現を使います。

カラーで保存される記憶は、潜在意識に濃く記録 されている証拠。

それだけ 受けた印象の衝撃が強い のです。

それを和らげるため、1で距離を置いた場面を、カラー(A)からセピア(B)に変えます。

モノクロでもよいですが、白と黒は「喪」をイメージ させるため、悲嘆な記憶として印象づく可能性があります。

よって、柔らかい記憶にするため、セピアをおすすめしています。

この辺りは、好みでお選び下さい。

カラーでなければ問題ありません。

以下の画像をご覧ください。

受ける印象の違いを、実感いただけましたでしょうか。

3.【パンフォーカス】から【ソフトフォーカス】へ

パンフォーカスは、全ての焦点を合わせること(A)、ソフトフォーカスは、全ての焦点をぼかすこと(B)です。

辛い出来事ほど、相手の顔や周りの景色をハッキリ記憶するもの。

それをぼんやりさせて 記憶を鈍くする のが目的です。

(C)は、セピア+ソフトフォーカスに加工したものです。

(A)と比較してみて下さい。

これほど印象が変わります。

まとめ

  • 記憶は、ありのままではなく、独自に色づけしたもの
  • 構成要素は、視覚情報、聴覚情報、身体感覚情報 の3つ
  • 構成要素によって記憶全体に「意味」を与えている
  • 辛い記憶を書き換えるには、構成要素を一つずつ変えていく

残念ながら、記憶を消すことはできません。

けれども、「辛い記憶」「嫌な記憶」という意味は、変えることができます。

お伝えした方法は、一人でできるメソッドですが、以下の方は、セルフケアより専門家の支援を得た方が望ましいと思います。

  • トラウマになっている
  • 思い出すと身体反応(発汗・動悸・頻脈など)がみられる
  • 記憶の存在が、別の不都合な現実から「逃避」できている

辛い記憶の書き換えは、シリーズにしています。

よろしければご参考下さい。

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